正反対求愛論続行中。




「あ、…っ…う、…」
「…御剣…、…」
「ああ、…っ…矢張…、…」

だからよ。 
あんまりにもこいつが、俺が満足してねえだのなんだの、言いやがるから、なんだぜ?
だから、この状況を作ってんのは、オレじゃなくて、御剣だ。

オレサマ、責任転嫁、大得意だからよ。
事実だってねつ造してまあ、それでうまくやってくって、質だ。

「…すげ、…えっろいおまえ」
「…ふ、…ざけたことを、…抜かすな…っ…ん、…う…」

だからさっさとこいつの身体が少しでも慣れてるうちに、と。
いただいちまってる最中なわけよ。

ぐい、と腰を押しつければ、舌を出して、跳ねてく身体。
一応バックからが楽らしいんでまあ、この体勢なワケだから、顔はよく見えねえんだけど。
視線の先にある、棚においてある鏡に映ってる顔見りゃ、つらいだけじゃねえって、わかる。
気づかれねえように、しねえとな。見るな、とか言いそうだし。

「こっち…、寄りかかったほうが楽だろ? 俺に座っちゃえよ」
「…あ…っ…、無理、だ…あああっ!!」

そうした瞬間御剣は、何度めかの欲望を吐き出して。
ぜえぜえと荒い息で、くたあ、と、全身の力を抜く。
こんな風に、無防備な姿さらすなんてな、予想外にもほどがあるぜ。

「まだだぜ、…御剣…」
「…ぅ…ぁあ…、…っ…あ、…」

くち、と音をたてて、萎えきってないそいつを握って、ゆるゆると上下に扱く。
なんだ、まだまだ元気じゃん。
そりゃそうか。普段は夢精フェチだっけか?

じゃあまあ、俺が処理してやんねえと、な。

「…きもちい?」
「ん……ぁ…ぁ…っ」

最初っから飛ばしすぎだって?
これでも押さえてる方だ。
マジで、こいつがこんな簡単にオレに抱かれてくれるなんて、思ってなかったしよ。
きっとまあ、猫みたいに毛ぇ逆立てて、引っかいてくるんじゃねえかって、思ってたわけよ。

ホント、成歩堂とオレだけには、気ぃ許してくれてるのな。
安心したんだぜ、御剣。
人間不信になっちまっててもおかしくない、そんなおまえの人生。
三人で飲みに行けるようになってる現状は。
ほんと、奇跡みたいなもんで。

「……オレじゃ、助けられなかったもんなぁ」
「…や、はり…? うあ、…っ…」

オレには、なにもできなかった。
こいつが、泣いてただろう時間も。
死にたくなるくらい、苦しんでた時間も。
そばにいることもしないで。

再会した後だってよ。
たまに、電話を鳴らしてたくらいで。

「…ごめんな」
「…? どうした、という、のだ…」

やべ、不安そうな顔でもしちまったかな。
馬鹿やって笑わすだけが、取り柄だってのに。

「ん、なんでもねえよ…」
「…君は、私を頼りには、してくれないのだろうか」
「へ…」
「成歩堂には、いろいろとグチをこぼしたり、頼ったりしているらしいが、私には、そうしてくれたことは、ないな」
「そんなことねえよ。 すぐ電話して頼ったじゃねえか」
「それは彼のことで、呼びつけただけであろう。 君が困った時、私が助けになれたことがないのが、心苦しいのだよ」

…なんだよそれ。
それって、俺が思ってることじゃんか。

一緒じゃねえかよ。

なあんだ。

…そうなのかよ。

「…なってるよ」
「なっていない」
「おまえが、どっかで生きてて、どっかで笑ってて、それだけで、オレの為になってんの」
「なんだ、それは……、っ…」
「こうやって、…よ、…抱かれてくれんじゃん? それだって、すげーうれしいんだって」
「…あ、…っ…、や、は…り…ぃ…」
「おまえがどこ行ってても平気なくらい、声、とかいろいろ聞かせて、覚えさせてくれよ」
「…っ…あ…、しょ、…承知、…した…」
「…御剣…、……ありがと、な」

見限らないでくれて。
人生なんてもうどうでもいいって、投げやりにならないでくれて。

あきらめないで、いてくれて。

生きていてくれて。

「…や、矢張…、あ、ああ…」
「あとでまた、ちゃんとすっから…、中で、出させてくれな」
「…っ…、ああ…、ぅあ…っっ!!」

受け止めさせて、
そそぎ込んで、
いっそ、俺色に染まっちゃえばいい。

真面目で気むずかしいことばっか、考えてんじゃなくてよ。

ちょっとは、へらりと笑えばいいのに。
まあ、できないから、こいつなんだけど。

「御剣…好きだ」

背中から抱きしめたまま、そこに頬を寄せる。

「…あ…、髭が当たって、…くすぐったいのだが」
「おー、そっか」

「や、…やめろと…、っふ、…はは…」
「御剣…、御剣…」
「その…、君を…、…好きになって、よかったのだと、思う」

「…、」
「すごく、よいことだったのだと、思える、私にとって……君にとっては、どうだろうか」

「いいとか悪いとか、わかんねーけど。 たぶん一生好きだから、…はなせねえよ」

「……矢張…」

「追いかけてくの、得意だからよ。
別にどの国だって、飛んでいってやっから、どこ行っててもいい。
寂しくなったら電話しろ。会いにいく」

「…っ…、…」

「泣くしよお。 感動屋さんね、おまえ」

「ば、ばかに」
「してねえよ、一生、しねえ」

ぐい、と御剣の身体を反転させて、くちづけて。
また、押し倒して。

「あ、…っ…矢張、もう、…無理、…」
「なんで? まだおまえ3回しかいってねえ、だろ…」
「じゅ、十分すぎるのだよ…っ」
「えー、なに、10回はやりたいって? 淫乱だねー、検事サン」
「ちが、違う…っあああ…っ」

「じゃあ期待どおりにしてやるよ…」

無茶苦茶になってわけわかんなくして。

ちょっと周り見渡せば絶対だって言い切れるくらい、
こいつに幸せをやれる奴は、数え切れないくらいいるはずで。

本当は、もっともっと、世界中で一番、
幸せになっても、いいってヤツで。

けどまあ、オレにはこれっくらいしか才能ないんで、
そこんとこまあ、よろしく頼むわ。

「…あ、…やは、り、…ヤハリ…っ…そこ、…」
「んー、感じちゃってんのおまえ、…ほとんど初回で、やるねえ…」
「うるさ、…っあ、ああ、…き、貴様、が、手を抜かない、から…」
「違うっての。 俺様本気だしたら、こんなもんじゃねえよ?」

「…え…、そ、そんなわけなかろう!!」

当たり前だろ、大事な御剣に、最初っから、そんなことしねえし。
ちゅ、と瞼にキスをして。
ぺろりと頬を舐めて。
にやって、笑ってやる。

「なに、本気、味わいたい?」

「…え、遠慮、させてくれたまえ」



どこの空にだって、叫んでやんよ。

誰にどう言われたって。

見合わなくったって。


御剣怜侍は、

俺様の恋人なんだっての。